カモミール
キク科
春から初夏にかけて、可愛らしい小さな白い花を咲かせ、爽やかな風に乗ってフルーティーな芳香を放つカモミールは、ヨーロッパでは、紀元前2000年頃からすでに薬用として用いられていました。
カモミールには多くの品種がありますが、一般的に薬用に利用されるのは、ローマンカモミールとジャーマンカモミールで、どちらもほとんど同じような薬効があります。
ローマンカモミールは多年草で、地面を這うように育ち花がジャーマン種に比べて大きく、黄色い花托の部分が平らなことからジャーマン種と見分けることができます。ジャーマンカモミールは1年草だという違いもあります。また、ジャーマン種は花だけに芳香がありますが、ローマン種には、全草に芳香があります。
カモミールの名は、その芳香に由来しています。ギリシア語で、「khamai(カマイ)」は「大地」を「melon(メロン)」はリンゴを表し、「カマイ・メロン」と呼んだことから、英語で「カモミール(カモマイル)」に変化したといわれています。また、和名は「カミツレ」と呼ばれます。
ヨーロッパで広く愛飲されているカモミールティーは、鎮静効果、発汗効果が高く、眠れない時や風邪のひき始めに飲んだり、落ち着きのない子や寝つきの悪い子にも飲ませる習慣があるようです。また、ジャーマンカモミールの学名の「Matricaria」は、ドイツ語の「母の薬草」という語に由来し、様々な婦人病にも優れた薬効があります。その他にも、消化促進、便秘、鎮痛、結石を砕く作用などが期待できます。
さらに、カモミールの優れた消炎作用は、外用してもアレルギーや、皮膚粘膜の炎症、口内炎、咽喉炎や歯痛などに効果を発揮します。これは、カモミールに多く含まれるカマズレンという成分による作用です。ただし、カマズレンは、生のカモミールには含まれておらず、花を乾燥させたり、精油を蒸留する際に生成されます。カマズレンは、ジャーマンカモミールに多く含まれ、この精油は濃いブルーの色をしています。
カモミールは生命力、繁殖力が強く、育てやすいハーブです。日当たりがよく、水はけのよい土壌でよく育ちます。春播き、秋播きどちらでもよいのですが、秋播きして冬を越した方がより丈夫に育つといわれています。踏まれても踏まれてもよく育つことから、イギリスでは芝生がわりに利用されていました。カモミールの花言葉が「逆境に負けない」であるのもうなずけます。
また、カモミールは「植物のお医者さん」ともいわれ、近くに植えたほかの植物を健やかに保ってくれる力があるといわれています。
私たち人間だけでなく植物にも様々なよい効果をもたらし、その姿も可憐で美しくすばらしい芳香をもつカモミールを、身近な場所に植えて楽しんでみませんか。
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